学会で基調講演をしました

去る令和7年6月14日に札幌で開催された第68回北海道医療ソーシャルワーク学会で講演しました。
いち会員を基調講演に招聘するという思い切った決断を学会事務局はしたものです。
現場のソーシャルワーカーの方に話しをすることは同じ職種のメンバーであり、気楽なようで実は厳しい評価もありえます。いままでにない緊張をしました(笑)。

講演テーマは「2040年に医療ソーシャルワーカーは生き残れるか」です。講演趣旨は「患者さんが退院して帰る地域をよくしていく(過ごしやすい地域にする)活動を医療機関へ勤めるソーシャルワーカーは自分の仕事として実践していきましょう」というお話しをしました。

今現在、医療ソーシャルワーカーは退院支援に忙殺されています。しかも短い期間で退院させよという所属機関からの要請つきです。しかし短い入院期間でしっかり退院支援をしようとしても限界があります。ならば一見我々の仕事ではないと思われる「地域をよくしていく」ことも今後は我々の仕事として引き受けてみようじなないかというお話しをしました。

道に落ちている空き缶を拾うのは自分の仕事ではありません。「こども」はそう思います。しかし「大人」は違います。大人は道に落ちている空き缶を拾うのは「みんなの仕事」だから「自分の仕事」と思います。今の日本は、「こども」の数が異常に増殖してしまった社会です。内田樹氏が述べたこの意見を講演で紹介しました。

私たちソーシャルワーカーは業務内容の明確な輪郭と専門性を示すことが難しい職種です。ともすれば誰でもできそうな仕事です。でも「道に落ちている空き缶」の例えで考えると、異常に増殖した「こども」へ語り掛け、話しを聞きながらが「大人」へ変容する可能性を最も信じられる職種だという自負はソーシャルワーカーは持っています。

出来そうだけど誰もが実施することが難しいこのことこそ、私たちソーシャルワーカーは自信を持って実践できると思います。

お招きくださった、またご参加いただいた北海道医療ソーシャルワーカー協会の皆様に感謝申し上げます。

先手相談と後手相談

相談支援には先手と後手の2種類があると思った。支援効果を今現在のことか未来への準備とするかという視点だ。これからの対人・地域支援を行う際は先手相談が有効・効果的ではないかと気づいたので備忘録として掲載する。

結論から先に述べると、これまでの生活課題が発生してからの相談支援。いわば後手の対応に終始するのではなく、生活課題が発生しにくくする、または発生しても限りなく早い段階で課題に対応することで支援にかける労力を低減する。いわば先手の活動が求められるだろうというものである。

医療分野の観点で言うと「予防に勝る治療なし」。医療の世界では常識だが、介護分野ではあまり意識されていないのではないか。事が起こってから対処するよりも、将来に大きな問題が起きぬよう予防策を講じる活動を意識して実施することが有効だろう。

先日地域包括支援センターの方と話しをしていた時のこと。これからの地域包括支援センターの取り組み、特に総合相談の在り方についての話題となった。人口減少、後期高齢者の増加、労働人口・医療介護従事者が減少するこれからの地域にあって、地域包括支援センターの総合相談体制とはどのような方向性がいいのだろうかがテーマだった。

単身世帯や高齢者夫婦世帯の増加により、ますます医療介護の課題を抱える方が増加する。それでなくても地域包括支援センターへ寄せられる相談件数は増加傾向にある。事が起こってから対処する毎日に忙殺され続け、何もしないとどうなるか。想像するに、寄せられる相談の対応待ちに1ヶ月を要するなどという自治体が近いうち生まれる可能性がある。後手相談は決して間違ってはいないのだが、縮小社会にあってこのままではまずいという支援者の意識へのギアチェンジが必要になると思う。

分かっちゃいるけどどうしたらいい

ここまでの理屈はよくわかってもらえるだろう。問題は「じゃあどうしたらいいのか」ということだ。でもよくよく考えると、地域包括支援センターの活動の中にも「先手相談」の取り組みは既に実施していることに気づく。介護予防・日常生活支援総合事業、生活支援体制整備事業や認知症総合支援事業などだ。しかしこれを「先手相談」を実現するための手段として活用するかどうかはセンスが問われる。地域包括支援センターの多くは自治体の委託で活動している。事業の目的に現場から自治体へ方法のアレンジ、加味の提案を許してくれるかどうか。自治体の懐の深さも問われよう。

しかし、現場の地域包括支援センターの方へエールを送りたい。みなさんこそが地域の個別の課題を広くかつ深く熟知しており、「このままではまずい」という実感と経験を誰よりも多く知っておられると思う。どうしたらいいかの第一歩は、自信をもって委託元の自治体とこれからの地域課題を事業の表面的なことにこだわらず、率直に語り合える場を作ろうとする情熱を持つことだろう。

先手相談とは地域住民の気づきの網の目を活用すること

日常生活支援総合事業における住民主体の通いの場(体操教室) を例にあげてみよう。通いの場とは、年齢や心身の状態等によって高齢者を分け隔てることなく誰でも参加することができ、介護予防などを目的とした活動を行う場であるとされている。(通いの場の課題解決に向けたマニュアル Ver.1 令和6年3月 厚生労働省より)。この取り組みの目的の第一義は介護予防である。しかしよくよく通いの場を観察すると、仲間づくりの場でもある。最初は知らない同士でも仲間になれば事情は変わる。通いの曜日を忘れる仲間がいれば途中で立ち寄って声をかけたりもするだろう。体操の帰りにはついでにゴミ出しをしてくれるかもしれない。仲間とは赤の他人ではなく、何かあったら気を使ってくれる存在だ。認知症の進行に仲間なら早く気がつく。かといってプライベートまで立ち入るべきかどうかは悩むところだ。そこで仲間から地域包括支援センターへ連絡が入る。「最近通いの場の曜日を忘れているみたい、どうやら飼っていた猫が亡くなって落ち込んでいるみたい」という具合だ。ここで早期の介入が可能となる。

にっちもさっちもいかない。行き詰まった状況やどうにもならない状態になってからの総合相談対応ではなく、日常生活の少しの変化をキャッチできる体制づくり。つまり住民主体の通いの場は、地域住民の気づきの網の目を細かくするという副次的な効果も狙うことができる。大切なことは、単に国から降りてきた事業をマニュアル通りに実施するのではなく、「先手相談」を実現するための手段として支援者側が意識して活動するということなのだろう。

居宅介護支援における先手相談の活用

先手相談とは地域包括支援センターの活動だけに留まらない。居宅介護支援の場面でも活用できる。ケアマネジャーは忙しい。中でもその原因は度重なる介護報酬改定の度に増える書類作成事務だ。ケアプラン作成のためにはサービス担当者会議の開催や福祉用具の使用にも、意見聴取や確認作業が求められる。まるで不正をしていない証明材料の作成業務だ。これでは利用者の疾病悪化やADLの低下に気付いても対処する時間がない。しかし利用者の変化を予測し、サービス事業所から連絡もらえるよう依頼することはできる。通っているディサービスのスタッフへ認知面低下の進行のサインがあったら連絡をもらうよう依頼したり、家族へ食事内容や飲水量の確認を依頼したりして疾病が悪化する前に対応することができよう。ケアマネジャーが一人ですべての情報収集を行うのではなく、変化のアラートをいろいろな方から受け取れるルートを作る。これも先手相談と言える。蛇足だがこの支援を検討するに有効な道具がある。適切なケアマネジメント手法である。

病院の退院支援における先手相談の活用

労働人口・医療介護従事者の減少は「退院しづらい地域」を生み出す。これまで受けられた医療介護サービスが受けづらくなる。施設への入所もままならなくなる。かといって病院へ入院し続けられるわけではない。医療機関の退院支援部門はケアマネジャーと同様忙しい。短い入院期間で元の生活場所へ戻られるならいいのだがこれが大きな苦労とストレスになっている。入院中に認知機能が低下したらなおさらだ。そこで病院の退院支援部門は大まかに2つの対策が考えられる。

一つは院内のケアチームの体制強化だ。短い入院期間で患者の意向を聞き取り、患者のニーズを実現するフラットでフットワークのよいチームワークとチームの技能向上だ。

次の二つ目が先手相談になる「退院しやすい地域づくりに病院として協力する」ことだ。これは今現在、病院が行う「しごと」ではない。しかし医療介護サービスが減少する縮小社会では、現在と同じ認知機能やADLであっても将来、自宅退院が難しくなることが想定される。前述の地域包括支援センターの地域づくりに任せてもいいのだろうか。病院ができることとは何か。地域事情や病院の機能にもよるが、地域包括支援センターが行う住民主体の通いの場づくりに協力することだと思う。住民の健康相談や運動時の痛みや対処に地域包括支援センターが助言することは難しい。地域包括支援センターの申し出に医師をはじめ、理学療法士等や管理栄養士などが積極的に協力するだけで彼らは大いに助かる。また協力活動で得られる地域の情報はこれまで病院が知るよしもない性質のものだろう。

温故知新の先手相談

先手相談は新しい考えではない。しかし私たち相談支援者は目の前の問題に忙殺され、将来に起こる問題を今のうちから軽減させるという取り組みに無頓着なのではないかと思う。そういう意味で今、改めて先手相談という言葉を用い意識して、皆で将来の問題を低減させていく取り組みや認知の拡大が必要ではないだろうか。

また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用も欠かせない。対話型AIの活用による社会的フレイルの早期発見など、ヒトが減少するなか、ヒト以外でおこなえることをシフトさせ、本気で取り組もうとしている方は私の見る限り少数だ。転ばぬ先の杖を真剣に考える仲間との語りも重要になるだろう。

番外編

2つのイベントのお知らせ

第3回 適切なケアマネジメント手法セミナーの申し込みを開始しました。
「適切なケアマネジメント手法」とは、要介護高齢者本人と家族等の生活の継続を支えるために、介護支援専門員の先達たちが培ってきた知見に基づき、想定される支援を体系化し、その必要性や具体化を検討するためのアセスメント/モニタリングの項目を整理したものです。ケアマネジャーのみならず、退院支援やサービス担当者会議などの場面で、多職種間で患者さんや利用者の課題や支援内容を検討する際の共通言語として活用できます。多くの方に本手法をご理解いただくとともに、本セミナーは令和7年度のケアプラン支援助言団体の募集を行います。当該事業への参加を検討されている各団体担当者の方は是非ご出席ください。

第3回 適切なケアマネジメント手法セミナー

日時:令和7年6月11日(水) 18:30〜20:00
場所:北見市役所5階 505会議室(オンライン参加可)
内容:こちらをクリックしてください
対象:医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師・退院支援看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士、介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士や行政職など

第2回 北見地域高齢者施設意見交換会の申し込みを開始しました。
今後さらに減少する介護職員や85才以上人口の増加により、高齢者施設の運営や住まいの確保など大きな課題が迫っています。また高齢者施設からの救急受け入れに際しACP(アドバンス・ケア・プランニング)や施設内急変時の対応に大きな差異がありました。そこで単一の施設だけでは解決できないこれらの課題について、一同に会し施設運営や介護職員減に対する課題解決を話し合う場です。

第2回 北見地域高齢者施設意見交換会

日時:令和7年7月1日(火)15:00~17:00
場所:北見市役所5階 505会議室(対面のみ)
内容:こちらをクリックしてください
対象:介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)、認知症グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅や高齢者下宿等の幅広い高齢者の入所・入居サービスの管理者や担当者

日本在宅医療連合学会北海道支部の北海道医療計画に対応するシンポジウムで報告しました

2025年4月19日に札幌市医師会館で開催されたシンポジウムで報告しました。
私が担当したのは「北海道各地の在宅医療連携のとりくみ」のうち「北見の在宅医療連携」です。

各都道府県の医療計画の中では、在宅医療の提供体制として
(1)円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制【退院支援】
(2)日常の療養支援が可能な体制【日常の療養支援】
(3)急変時の対 応が可能な体制【急変時の対応】
(4)患者が望む場所での看取りが可能な体制【看取り】の体制整備に加え、

(5)在宅医療において積極的役割を担う医療機関【積極医療機関】
(6)在宅医療に必要な連携を担う拠点【連携拠点】
の設置が行われることになっています。

「在宅医療の提供体制」を読み解き、北海道の行政関係者、郡市医師会、在宅医療関係者、介護関係者がどのように行動していくことが北海道の在宅医療の体制整備のため必要かを検討し、5年間の行動につなげることを目的として開催されました。

私の報告を忘備録として掲載します。当日のスライドは以下からどうぞ

在宅医療の二つの取り組みの方向性

在宅医療の二つの取り組みの方向性には以下の2つがあると思っています。
1つ目は「在宅医療を実施する医師や看護師の増加」です。しかし医師・看護師が不足する地方で増員は難しいのが現実です。
2つ目は「在宅医療を不要とする住民、患者の増加」です。こちらは要介護者の身体機能低下をケアプラン支援や多職種連携の推進で防ぐことがかろうじてできそうです。

北見の報告ではこのうち、二つ目を中心にお話ししました。
具体的には以下の4つです。

1.通所介護で機能維持・改善ができるように
2.医療職によるケアプラン支援で要介護の重度化率を低減。「適切なケアマネジメント手法」を多職種コミュニケーションの共通言語へ
3.望む最期を過ごせる多機関、多職種間の規範的統合
4.連携拠点の立場で在宅医療の提供体制を読む

1.通所介護で機能維持・改善ができるように
令和5年度から実施している「通所サービス意見交換会」について報告しました。
課題として北見市の要介護認定更新時の要介護悪化率が高値59.5%(要支援)で推移しており、かつ通所介護へ通っても機能低下する利用者が存在していること。
また当センターが通所介護事業所を対象とした調査結果で個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを届け出している15事業所のうち、評価指標が改善した利用者いたのは6事業所のみだった(63ヶ所中)ことです。

そこで要介護者の重症化予防と悪化率の低減を目的として、通所介護事業所同士の業務の工夫や情報交換の会を開催しました。機能訓練の実施状況の調査、情報提供と方法の提案などを行う意見交換会をこれまで6回開催しました。

その結果、過去はほぼなかった他事業所間の交流で所属事業所の業務が客観視できたこと。機能訓練への関心の喚起、具体的方法を知ることができたこと。機能低下を防ぐ視点やチームケアへの関心が参加事業所で高まりました。また、ケアマネジャーのケアプランと通所介護計画の連動性が重要と気づきました。本会はケアマネジャーも参加しており、事業所の困りごとや体制を学ぶことができています。
ケアマネジャーが通所介護事業所へ提出するケアプランはどうしても漠然としたものとなってしまい、通所介護事業所で独自に評価を行いケアの質の向上へ取り組んでいるようです。今後はケアマネジャーとともに在宅介護の重要な柱である通所介護事業所の質の向上に努めていきます。

2. 医療職によるケアプラン支援で要介護の重度化率を低減。「適切なケアマネジメント手法」を多職種コミュニケーションの共通言語へ

ケアプラン立案の際、身体機能の予後予測をケアマネジャーは知らずに立てざるを得ません。また、疾病予防に対する支援内容を検討する際に医療職の助言はなかなか受けられません。訪問看護をサービスに位置付けずに、サービス担当者会議に看護師は来てくれません。仮に医療職へ相談できるとしても、どのように聞いていいか分からない、窓口や方法もないというのがケアマネジャーが悩み、ケアプランによる疾病予防の効果を減じている原因だと考えました。

そこで適切なケアマネジメント手法(以下適ケアとします)の実践研修をケアマネジャーを対象に実施し、本手法を多職種で学ぶセミナーを開催しました。さらに北海道理学療法士会道東支部の協力を経て、理学療法士によるケアプラン助言を令和4年度から実施しています。
また、北見市が主催する地域ケア個別会議でも適切なケアマネジメント手法を活用した会議を開催し、令和6年度は提出された18事例の事例集を作成しました。

この取り組みにより、適ケアは多職種間での検討課題の焦点化と解決方法の提案活用できることが分かりました。またケア会議で検討された基本ケア項目の集約と分析で地域課題が把握できました。
さらに助言を受けたケアマネジャーからは、理学療法士の助言は具体的で短期目標に活用でき、利用者と共同した目標達成への関係構築につながったという意見を頂きました。
適切なケアマネジメント手法はケアプランにおける支援内容の「抜け漏れ」を減少させ、疾病予防や機能維持につながります。また多職種連携の目的が職能の縄張り争いではなく、患者・利用者の「望む生活・暮らしの意向の把握」の実現であることを多くの職種が理解したという効果をもたらしました。

3.望む最期を過ごせる多機関、多職種間の規範的統合

令和5年度から取り組んでいる在宅医療・救急医療ワーキングチーム会議の活動を紹介しました。
本人の意思に反した(延命を望まない患者の)救急搬送が散見され、あらかじめ家族等と話合いを行っていないこと等から、望まない救急搬送が行われています。さらに救急現場や医療現場での対応にも課題が生じています。

そこで、
1.本人の意思を尊重するための在宅医療・救急医療の連携体制の構築
2.在宅や施設でのACPの取り組みの推進
3.高齢者施設における急変時対応力の向上と情報伝達の均てん化
4.DNAR意思の方の不搬送プロトコルの検討、関係機関の合意形成

これらを活動の目的として医療機関、介護保険事業所、行政や消防組合等で構成する会議を開催しています。

これまで、北見市の在宅医療・介護連携推進事業として上記の関係団体からなる会議を5回開催しました。具体的な活動として、ケアマネジャー、救急隊、高齢者施設を対象とした調査を実施するとともに、多職種による在宅医療・救急医療に関するセミナーを開催しました。またケアマネジャーへの調査結果から、比較的元気な時期からのACPへの取り組みに難渋していることが分かりまたし。さらにケアマネジャー対象に比較的元気な時期からのACPに関する研修会を開催しています。

その結果、ACPを実施している介護支援専門員は53.8%おり、開始すべき時期で多かったのは「健康なうち」からで61.5%でした。救急隊への調査結果では、令和5年のCPA件数は203件。うちDNAR事案数は9件、このうち病院搬送8件、不搬送1件でした。また救急隊の印象として、かかりつけ医とDNARを事前に協議していたケースは稀と感じることも分かりました。高齢者施設を対象にした調査では、ACPへの取り組みは44%の高齢者施設が「既に取り組んでいる」と回答していました。

今後は、高齢者の家族が医療的対応に納得したかの調査案の検討。急変時の対応や、ACP推進の研修会開催(高齢者施設向け)や、ACPを実践しているケアマネジャーの取り組みを紹介する研修会の開催を予定しています。

今回のシンポジウムのねらいである医療計画をどう読むかについて、連携拠点の立場から次の4つを報告しました。

1つ目は、消化事業にしないことです。これは連携拠点に関する道・市の要項は「取り扱い説明書」と理解して活動するというものです。私の「連携の師匠」から「要項や手引きは所詮、事業費付きの小道具集。法律の範囲内でどう使おうと自由と考える。その上で指令書は取り扱い説明書として一応、しっかり読む。」という教えです。
2つ目は「何がどうなればいいのか」を決める (取り組みゴールの明確化)です。関係者のコンセンサスは重要なのですが、「とりあえず何がどうなればいいのか」をはっきりさせておくことが必要です。ゴールが明確ならないと活動が具体的にならないばかりでなく、関係者の動機付けを低下させ、何をしているのかが分からなくなるからです。
3つ目は、現状維持でいい (というかそれがせいぜい)です。地域包括ケアの実現は叶うでしょうか。いえ、理想はあるが達成は不可能だと思います。せいぜい縮小社会で医療サービスが破綻する時期をできるだけ遅らせられるくらいという気持ちで取り組む方がストレスがありません。
4つ目は、多職種連携とは「新たな役割」への挑戦 (恒常性バイアスからの脱却)というものです。少ない医師や看護師で在宅医療が維持できるコメディカルの「新たな役割」の創造が急務です。今までのやり方や常識が通用しない時代が到来します。なにせヒトがいなくなるのです。少ない資源で患者さんや利用者を支えていくためにはこれまで専門職が常識と考えていた職域や役割から解き放たれ、役割のシェアや専門性の越境が求められるでしょう。
最期の5つ目です。そもそもの「在宅医療」の範囲を地域で確認しておくことです。在宅医療の推進といいますが、専ら訪問診療医の増加が施策として求められています。それはそれで大切なのですが、地方では医師の減少や高齢化が著しく解決は困難です。在宅医療の推進とは、訪問診療医の増加対象ではなく、訪問診療を必要とする住民をできるだけ増やさないという点で、対象は入院医療以外すべてとして活動するべきだろうと思います。

最後に「在宅医療連携をどう構築するか」について私の住む北見でどのようにするかを3つ考えました。

1.在宅医療の供給量を増加させる(訪問診療医師の増がいいけれけど…)
高齢者救急(多疾患併存)を受け入れる病院と在宅ケアチームの受け入れルール協議と、通院困難患者の通院継続を開業医と地域のケアチームで考えられる場づくりです。在宅介護を維持していくためには疾病に罹患しても入院によるダメージを軽減するとともに、再び在宅生活を送れるようにする入院医療と在宅医療チームとの協力が求められます。急性期や亜急性期の入院医療機関との協議の場が求められます。

2.在宅・施設での機能低下を防ぐ多職種連携チーム(通院困難の解消)
ケアマネジャーが医療専門職に気軽に相談できる仕組み(職能団体の社会貢献に期待)と安易に自宅退院困難と判断しない医療機関の退院支援の充実と在宅医療への理解です。ADLが低下した際、介護保険サービスだけでこれを食い止めるのは困難です。医療機関で働く多職種が入院患者のみならず、外来患者に対しADL低下を食い止める方策の充実が求められます。それには退院支援に偏重した入院医療を在宅や外来へ資源を振り向ける診療報酬の建付けが求められます。これは通院困難な外来患者に安易に訪問診療を紹介せず、外来医療で認知症の方や長いまち時間に耐えられない患者さんに対する配慮も含まれます。

3.「望む生活・暮らしの意向の実現」が在宅医療の目的という規範的統合の醸成
退院前のACPや患者の意向や方針が、「退院後に変わるのは当然」という互いの理解です。入院患者に対する退院支援はとかく「退院のための支援」になりがちです。退院後の生活継続の担い手は在宅医療担当者が実施するものではありますが、入院中の担当者も退院後の暮らしの意向を共に考え、退院後の暮らしを在宅医療担当者とともに志向する地域全体の多職種ケアチームが実現できるよう取り組みます。

最後に在宅医療において必要な連携を担う拠点を仮に実施するとした際に今回改めて感じたことを述べます。

「在宅医療の普及(訪問診療という選択肢の市民啓発)」という施策を実施できるのは札幌市を中心とした在宅医療資源が豊富な地域だけだと思いました。希望する住民に対する充分供給量があるからです。地方では希望しても医療資源には限界があります。

もうひとつは急性期医療における在宅医療を見越した支援体制の整備です。急性期は毎日多くの患者さんが入院し、短い入院期間で退院支援を実施しています。そのため通院が困難と見込まれる入院患者さんに対する支援は、訪問診療へつなぐのみで終わっている場合がありそうだと思いました。さらに急性期病院で多くの手当を望むことも人員体制の現状からは難しいと思います。在宅医療を多くの関係者に理解して推進するとした場合は急性期病院から自宅退院する方の手当の役割分担や退院後にもたらされる退院ごの患者さんの課題などを共有する場が必要かと思います。在宅医療を考える集団と急性期の病院の集団とのはらを割った話し合いが必要なにるでしょう。そこで今回のテーマの一つである「在宅医療において必要な連携を担う拠点」がコーディネーターとなり、連携協議を進めていく必要性があります。

連携協議とは、互いの言い分を吐き出させ、相互に相手の言いにくいことを受け入れ、妥協点を見つける作業のことです。連携当事者ではなく連携調整者であるコーディネーターの重要性はこの役割を担い、相互に納得できる作業だと思います。

身寄りなしの方の支援体制整備を関係者全体の課題へ

令和7年2月26日に北見市が開催した「令和6年度 医療機関・在宅ケアマネジャー連携会議」にて「身寄りなし患者の支援課題について」をテーマとしたグループワークを当センターが担当した。参加者は医療機関の入退院支援担当者と居宅ケアマネジャーである。

そもそも今回、なぜこのテーマにしたのか。これは以下のレポートを読み、非常に危機意識を私が感じたからであった。(以下レポート要旨)

人口減社会は個人を取り巻く地域や世帯・家族の縮小をもたらすばかりでなく、高齢期の暮らしへの影響、特に健康や介護の問題が顕在化して初めて「身近で手助けする人がいない課題」に直面することに気付いたからである。現に身寄りなしで困っている方はもとより、今現在は自分自身で身の回りをことができる方であっても、将来へ向けたの支援体制を整えておかなければならない。私の仕事はこれまで医療と介護の課題を取り扱ってきたけれど、この課題は将来生まれる社会課題として直ちに取り組まなければならないテーマだと感じた。
身近で手助けする人がいない場合、医療機関においては自宅退院への選択の可能性は小さくなる。また護保険サービス契約も怪しくなる。これまで「身近で手助けする人」の存在を前提としてきたサービスの大転換が求められる。

話しを連携会議へ戻します。

連携会議で「身寄りなし患者の支援課題」を協議するにあたり、居宅ケアマネジャーを対象に身寄りのない方の入退院支援に関わる調査を行った。調査にあたり必要なことは身寄りのない方の定義だ。そこで、㈱日本総合研究所が「介護職員等における身寄りのない高齢者等に対する支援の実態に対する調査研究事業(令和6年度 老健事業)」で用いた以下の定義を活用して調査をおこなった。

調査では北見市の居宅ケアマネジャー約200人のうち55人(回答率 27.9%)から回答を得た。調査結果をまとめると以下のことが判明した。

  1. 全ケース1,543ケース数中、身寄りなしの方がいると回答のあったケースは108(6.9%)で、将来の身寄りなしを含めると179ケース(10.9%)となり、要介護ケースの約1割であった。
  2. 要介護ケースにおける単身世帯率は37.0%で、高齢者夫婦世帯は59.0%であった。
  3. 要介護ケースにおける成年後見制度の利用率は14.8%であった。
  4. ケアマネジャーの法定外業務としていつもある(月1回)程度の内容は、郵便・宅配、書類作成の代行や発送であった。
  5. 法定外業務への対応は事業所の業務が無償で実施していた。
  6. 支援が難しい人への支援の際、助けになるのは、併設する事業所や同僚であった。
  7. 入院時に保証人・緊急連絡先等を求められる医療機関が多いとケアマネジャーが回答した。
  8. 身寄りのない方が介護保険サービスを利用できるようするために、必要だと思われることで最も多かったのは「医療機関や施設が保証人がいなくても入院、入所を受け入れてくれること」であった。
  9. 身寄りのない方の支援に対し「大きな負担感がある」と回答したケアマネジャーが約7割いた。

以上の結果から「身近で手助けする人がいない課題」に直面している方は非一定数いることが判明した。
医療機関とケアマネジャーの入退院支援に関する会議ということもあり、話題はケアマネジャーの業務負担をどう解消していくかという課題もあった。これはこれで解決をしていくとして、グループワークを終え「身近で手助けする人がいない課題」の解決へは今後、以下の手順でを進めることが必要だと感じる。

現状と課題の把握
「身近で手助けする人がいない課題」は各機関(行政・医療機関・介護サービス・その他)でどのように発生しているか、またどの程度に人数がいるか。
現在行われている支援
上記の課題を各機関(行政・医療機関・介護サービス・その他)はどのように対処しているか。今後対象者が増加した場合に持続可能かどうか。
今後立案すべき支援や対策
現に「身近で手助けする人がいない課題」に直面している方に対する対策は何か。
どういった団体を構成した協議体(既存の団体を含む)でで検討していくか。
将来の「身近で手助けする人がいない」予備軍の方に対し、現在取り組めることは何か。

また、この課題に取り組んでいる地域同士の情報交換も必要だと感じる。この課題はみなに関係するが、どこが主体的に扱うかが定まっておらす、その結果誰も取り扱わずただ見過ごされてしまう。

今後はこの身寄りのない方が抱える課題を地域全体の課題として各地域で取り組んでいくことが望まれる。

参考資料:身寄りのない高齢者の生活上の多様なニーズ・諸課題等の実態把握調査(日本総合研究所 2024年04月)

令和6年度 自立支援型地域ケア個別会議の事例集を公開しました。

本事例集は北見市が主催する自立支援型地域ケア個別会議で検討された事例(18事例)を医療介護支援センターでまとめました。

地域におけるケアマネジメントの質の向上を図り、高齢者の自立支援・介護の重度化予防に資する多職種による助言を通じ、以下を達成することを目的として開催されています。
1)地域におけるケアマネジメントの質の向上
2)地域における課題の抽出
3)適切なケアマネジメント手法の普及と活用の拡大

事例集では、ケースに対する医療専門職の助言内容、ケアマネジャーの支援内容の変化、そしてその結果を記載しました。
また記載にあたり、適切なケアマネジメント手法の基本ケア項目も掲載しています。
本事例集の活用により、助言の視点や具体的方法を知ることで、多くのケアマネジャーの方の支援内容の抜け、漏れを防ぐとともに疾病等が悪化せず生活を続けられる利用者支援と多職種連携推進の一助になればと考えます。

専門性の越境は多職種連携の進展につながるか

本稿は2025.2.1に発行した北見市医療・介護連携支援センターのニュースレター第15号に掲載したもの。いままでは医療介護関係者へのインタビューを記事にしていたが、諸般の事情で関が執筆した。これまで読後の感想をいただくことはなかったのだが、今回は色々な方からご意見を頂戴した。さらに意見が欲しいという訳ではないのだが、気をよくしてこちらにも掲載する。

事例検討における職能の専門性と意見・提案
 数年前まで、多職種が集まり事例検討を行う際、私が気になっていたことがありました。それは「医師として」とか「リハビリでは」といった自己の職能を前置きする発言です。もちろん医師でない者が診断や治療をすることはできません。そうではなく、職能を前置きすることで発言を自己擁護しているような態度を感じたのです。しごくもっともな話です。医療機関内で実施するカンファレンスのように、患者さんや利用者の情報をすべて知っているわけでもなく、発言の責任を負う院内の医療チームのメンバーでもありませんから当然です。きっとそれはよく知らない患者さんや利用者に対する「遠慮」のようなものなのかもしれません。多職種が意見をいう場では恐らくこういった遠慮という「配慮」が多職種連携による各職能の知見の効果を狭めたり、もう一歩連携を進めたいのに進まない楔形(くさび)のようなものだと私は感じていたのでしょう。
 そういう意味で多機関の地域関係者が集まる事例検討の場における多職種の発言は、「意見や提案」の扱いであり強制力はありません。であればもう一歩踏み込んで、多様な意見や職能の枠にとらわれない形で事例検討が実施できないものかと考えていました。こういった「意見」は提出された事例を今後展開する上で、新たなそして大きな各職種の「気づき」となり、地域での支援を広げる効果をもたらすでしょう。
 多職種による事例検討という事業の目的は、本人の意欲や強みを引き出し、生活の継続を支えられるような支援に近づけることです。こうした多職種とのやり取りが互いの視点の共有化につながり、連携の目的に近づきます。


共通言語の活用と地域支援の充実
 そこで北見市では令和5年度より地域ケア個別会議(北見市では「自立支援型地域ケア個別会議」と呼称しています)に適切なケアマネジメント手法を活用する運用を開始しました。従来の会議と異なるのは事例提供者の支援内容や多職種による助言や意見を適切なケアマネジメント手法における「基本ケア項目(44項目)」を共通言語として用いて検討することです。
 適切なケアマネジメント手法とは、要介護高齢者本人と家族の生活の継続を支えるために、介護支援専門員の先達たちが培ってきた知見に基づき、想定される支援を体系化し、その必要性や具体化を検討するためのアセスメント、モニタリングの項目を整理したものです。
 会議では最低限の事例紹介ののち、検討したい事項を基本ケア項目に従い事例提供者が説明します。数点の多職種による質問を経て、提供者の提示した基本ケア項目や、追加するべき支援について基本ケア項目が提案されます。
 適切なケアマネジメント手法を活用して効果的だと私が感じたのが、多職種は提案する基本ケア項目の理由「なぜこの支援が必要だと思うのか」を述べるだけで意見や提案が済むことでした。
 従来であれば支援の理由に留まらず、「こういう支援をしてはどうか」という支援内容も説明が必要です。しかし既に基本ケア項目に詳しく記述されているのです。短時間で意見が済めば多くの他の意見や提案を会議で展開することが可能になり、会議の効率化につながります。それだけではなく、年間を通じて基本ケア項目の番号の頻度を調べることにより地域のケアマネジメントの課題も抽出できる副産物となります。
 会議後に事例提供者は各職種から提案された意見と採用した意見のみならず、修正した支援内容と支援結果をA4サイズにまとめ会議運営者である北見市へ提出します。これに匿名性を確保した上で事例集としてまとめ、市内の多職種へ供覧するところまで実施します。これにより、多くの関係者が課題に対する支援のバリエーションを知り、かつ適切なケアマネジメント手法の普及につなげます。
 つまり会議の目的である、①地域におけるケアマネジメントの質の向上、②地域における課題の抽出、③適切なケアマネジメント手法の普及と活用の拡大に資する多職種による取り組みに繋がるようにしています。


薬剤師の発言による多職種連携の可能性
 北海道薬剤師会北見支部による研修会で、ある薬剤師の方の発言が印象に残りました。「これまで薬剤師は薬学的観点や薬剤管理についての助言・指導に留まっていた。これからは介護現場での視点を共有して、ケースに寄り添った気づきを薬剤師として伝える事が必要なのではないか」というものです。在宅医療や在宅ケア領域において多職種が連携する目的は利用者本人や家族の自立支援と生活の質の向上です。指導よりも介護現場での困りごとである、脱水・栄養失調、転倒・誤嚥、認知機能低下、生活不活発、慢性疾患の増悪、家族との関係の介入などに対し、いわば「越境した」気持ちで発言していくことがこれからの多職種連携の姿になると気づいたのです。


 地域の多職種連携では、チームワークモデルの3つの類型のうち、急性期やICUなど医師の指示に基づき、あらかじめ決められた役割をこなす「マルチモデル」ではなく、在宅・地域ケアチームのような、多職種間で役割固定がなく、横断的な支援を行う「トランスモデル」を意識したモデルが関係者に浸透していくような取り組みを今後も進めていきたいと思います。(下記図を参照)

医療・介護資源が減少する地域の取り組み

地元のロータリークラブにお招きいただき、卓話をしました。

ロータリークラブの存在は知っていましたが例会に行くのは初めてです。社会の第一線で活躍している経営者や役員、医者、弁護士、薬剤師、会計士、住職など専門職をされている方が入会していらっしゃいます。また卓話とは、例会の会食後に開催される小演説の事のようでした。

テーマは「人口減少社会における医療と介護の連携と意思決定支援」についてお話しました。内容を以下にご紹介いたします。

  • 北見市の施設等で働く介護職員は令和元年から令和4年の3年間で345人減少した。市内の開業医も高齢化している。
  • 人口減少社会によりこれまでの医療と介護サービスが持続出来なくなる時代が間もなく到来します。どうすればいいのか。
  • 対策は住民自身が健康でかつ介護を受けないでいる自主的な取り組み。その上で医療と介護が協力して過不足のないサービスを提供できる仕組みが求められる。
  • さらに大切なことは、やがて来る自分の「死」に際し、どのような医療・介護サービスを受けたいか自身で考えるとともに、日頃からご家族等と話し合っておくこと。
  • 2040年は団塊の世代が全員90才以上になる年で、日本の死亡者数がピークに達する。
  • 北見市の65才以上人口数はゆっくり減少するが、85才以上人口は、2025年から2040年の15年間で1.4倍に増加する。
  • 85才以上の要介護認定率は57.7%(全国平均)であり、北見市では2030年から介護の需要がさらに数十年続く。
  • 医師、特に訪問診療を実施する医療機関や医師が少ない。開業医も高齢化している。
  • 介護職員が高齢化し、かつ減少している(3年間で350人減少)。
  • 北見市における自宅死や老人ホーム死は、道内他市町に比べ相対的に高い。
  • 要介護認定における要支援(1・2)など、軽度者の悪化率が高い。
  • 高齢医師診療所が複数廃業。病院へ高齢の外来患者が急増。待ち時間を嫌う患者の受診控えが進みその結果、高齢者の救急搬送数が増加する。
  • 救急医療機関は認知症を併存疾患とする入院患者対応を忌避する(現在もですが…)。疾病は治癒しても認知機能低下が進行し、自宅退院困難な患者が医療機関で多く産出されるが退院先がない。
  • 高齢救急患者で救急ベッドが埋まり、集中治療が必要な患者が入院治療できない。
  • 介護支援専門員が不足し、ケアプラン作成が追いつかない。また介護職員不足で施設のベッドに空床はあるが介護職員不足のため、入所できない。
  • 急性期病院から直接自宅退院する認知症・高齢者が増加。介護するヘルパーや家族がおらず、「自宅で一人死」のニュースが毎日流れる。
  • 適切な介護サービスが受けられないので、軽度者(要支援)があっという間に重度化する。
  • 通院できなくなると、医師の診察が受けられない(医療難民:訪問診療を行う医療機関や医師が不足)
  • 自宅や施設で暮らしたいと思っていても暮らせない(介護難民:介護福祉士やケアマネジャーが急激に減少している)
  • 救急で病院運ばれた際、どこまで治療をするか。本人の希望が不明確なため、救急医から短時間で家族が決断を迫られる(人生会議(ACP)の認知度が低い、人生会議は家族のため)
  • 自宅や施設で暮らせないと退院できず、救急病院で新しい救急患者さんの受け入れができない大きな社会問題となる(介護職不足の問題は救急医療の問題とつながり、救急医療が崩壊)
  • 話し相手や友達付き合いを欠かさない(他者との交流)。孤独はタバコより健康に悪い。
  • 定期的な運動を行う(近所の体操教室など)。高齢でも筋力は向上します。
  • 健康な方は、近所の弱ってきた方を助ける。手助けは生きがいにつながるので、自分が将来困った時でも助け合える近所づきあいをしておきも認知症が多少進んでも自宅で暮らし続けられるようにする。
  • どんな暮らしが自分にとって大切なのかを家族で話しておく(推定意思)。急病の時(もしもの時)にどこまでの治療を受けたいか、ご家族が困らないようにしておく。

地域包括支援センターが進める住民主体の通いの場の活動にロータリークラブからも協力をお願いしたい。

高齢期は未経験の出来事の連続。特に高齢期から死後にかけては、自分では行いきれないことが多く発生するため、いかに他者の助けを得られるかが非常に重要なカギを握っている。これまでは親族が近くにいて、必要な時には柔軟な形で助けてくれることが社会的な前提となってきたが、現実にはその前提は崩れつつある。

現在北見市の一部の地域包括支援センターでは「住民主体によるの通いの場」づくりを進めている。行政から押し付けられたプログラムではなく、住民自身が主体的に自分自身の介護予防に取り組むために、近所や地域で身近に人が集う場所をつくり、定期的な体操や交流、困りごとのお手伝いなど小さい単位自主的に実施する地域の活動。

ポイントは他人のためにちょっとずつ自分でできることで協力することだ。ボランティアという感じではなく、「知り合いだからちょっと助けている」という感覚だ。こういった「人の役に立っている」という感覚。

社会の第一線で活躍している経営者や役員などで構成するロータリークラブの皆さんもこの活動を知り、協力して頂けるようになると大きな力なる。地域にはリーダーが必要です。今後「ロータリークラブが地域を救う」という流れになることを期待します。

お招きいただきありがとうございました。

新潟県在宅医療推進フォーラムのアーカイブ配信が開始されました

関の基調講演が19:18より視聴できます。
「地域共生社会の実現に向けた医療介護連携とは」
講師 北見市医療・介護連携支援センター(北星記念病院)センター長/関 建久
座長 新潟県医療ソーシャルワーカー協会 会長/坂詰 明広

お招き頂きました皆様に感謝申し上げます。

セミナー等のご案内

北見市医療・介護連携支援センターから、在宅医療・救急医療セミナーとケアマネジャーを対象としたACP研修会のお知らせのご案内です。

第2回在宅医療・救急医療セミナーのお知らせ
日時:令和6年11月22日(金)18:30~20:00
場所:北見市役所5階 505会議室・入札室
ご案内はこちら

https://www.nouge.gr.jp/center/info/20241122.pdf
お申込みはこちら
https://forms.gle/iFVzQDGz1AtJqzGo7
(締め切り11/18まで)

ご案内はこちら
https://www.nouge.gr.jp/center/info/20241213.pdf
お申込みはこちら
https://forms.gle/pKXJ7x8xZ56ejVmz7
(締め切り12/6まで)