学会で基調講演をしました

去る令和7年6月14日に札幌で開催された第68回北海道医療ソーシャルワーク学会で講演しました。
いち会員を基調講演に招聘するという思い切った決断を学会事務局はしたものです。
現場のソーシャルワーカーの方に話しをすることは同じ職種のメンバーであり、気楽なようで実は厳しい評価もありえます。いままでにない緊張をしました(笑)。

講演テーマは「2040年に医療ソーシャルワーカーは生き残れるか」です。講演趣旨は「患者さんが退院して帰る地域をよくしていく(過ごしやすい地域にする)活動を医療機関へ勤めるソーシャルワーカーは自分の仕事として実践していきましょう」というお話しをしました。

今現在、医療ソーシャルワーカーは退院支援に忙殺されています。しかも短い期間で退院させよという所属機関からの要請つきです。しかし短い入院期間でしっかり退院支援をしようとしても限界があります。ならば一見我々の仕事ではないと思われる「地域をよくしていく」ことも今後は我々の仕事として引き受けてみようじなないかというお話しをしました。

道に落ちている空き缶を拾うのは自分の仕事ではありません。「こども」はそう思います。しかし「大人」は違います。大人は道に落ちている空き缶を拾うのは「みんなの仕事」だから「自分の仕事」と思います。今の日本は、「こども」の数が異常に増殖してしまった社会です。内田樹氏が述べたこの意見を講演で紹介しました。

私たちソーシャルワーカーは業務内容の明確な輪郭と専門性を示すことが難しい職種です。ともすれば誰でもできそうな仕事です。でも「道に落ちている空き缶」の例えで考えると、異常に増殖した「こども」へ語り掛け、話しを聞きながらが「大人」へ変容する可能性を最も信じられる職種だという自負はソーシャルワーカーは持っています。

出来そうだけど誰もが実施することが難しいこのことこそ、私たちソーシャルワーカーは自信を持って実践できると思います。

お招きくださった、またご参加いただいた北海道医療ソーシャルワーカー協会の皆様に感謝申し上げます。