医療介護連携の対象者の範囲を考える

医療介護連携とは医療と介護を必要とする高齢者を対象としたネットワークづくりである。実はこの対象規定は2つに分かれる。一つ目は要介護認定者等を対象とするもので、退院連絡率(要介護者が医療機関を退院する際にケアマネジャーへ連絡が来た割合)を高める活動などの場合がこれに当てはまる。二つ目は要介護認定者以外も対象に含める場合だ。当センターが昨年実施した調査によると、令和元年7月に北見市内の医療機関へ入院した65才以上の北見市民患者数は1,052名だった。また同年10月に北見市内の医療機関へ入院した要介護認定者数は167名だった。65才以上入院患者に占める要介護認定者の割合は15.8%となる。つまり医療機関が入院治療を行う65才以上高齢者の84.2%は非要介護認定者であることになる。 入院に至る疾病すべてが介護サービスを必要とする訳ではないが、要介護状態になる可能性は高いと言える。この層に対して、対象と考えるかどうかが今回の話である。

 NPO法人オホーツク脳卒中研究会(理事長 木村輝雄)が実施した調査によると、2015年度のオホーツク三次医療圏の脳卒中患者数1,070人のうち、退院時mRs(日本版modified Rankin Scale 脳卒中判定基準)の0~2(無症状から日常生活自立レベル)だった患者数は591人(55.2%)であった。要介護認定の原因疾患の上位を占める疾患であっても半数の患者さんは悪くても「日常生活自立レベル」ということになる。骨折、心疾患や呼吸器疾患は要介護認定の主たる原因疾患だが、こういう疾患も含め、退院時に日常生活に支障がない患者さんも多いだろう。

以上から医療介護連携の対象者は、医療と介護の両方のニーズを現在持っている方のみならず、要介護認定の主たる原因疾患の治療を受けた高齢者、いわゆる介護ニーズを持たない方も対象とするべきという考えが生まれる。

さあ大変だ。私の少ない知恵でこういった方を扱うのは「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」だ。市町村が、介護の地域支援事業・国保の保健事業との一体的な取組を実施し、医療専門職を配置して、事業全体のコーディネートや企画調整・分析を行い、疾病予防・重症化予防や生活機能の改善を目指すが、ネックになるのが恐らくかかりつけ医との連携だ。医療機関と独立して保健活動を市町村が実施するならやりやすい。しかしいわゆるこれは「医療との連携」である。換言するなら「医療と保健介護予防連携」とでも言えよう。

だんだんドキドキしてきた。「在宅医療介護連携推進事業」は「医療と保健介護予防連携」も取り扱うことになるのか、対象範囲が増えてしまいそうだ。

「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」は厚生労働省の保険局高齢者医療課で、「在宅医療介護連携推進事業」は同省の老健局だから安心ともいっていられない。国は「在宅医療・介護連携推進事業の見直し」として第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定に「他の地域支援事業にもとづく事業と連携し実施するよう明確化」と謳っているからだ。

もういい。開き直ろう。そもそも人間の「ここから医療でここから介護」などと分割は出来ないし、統合するためのそもそもの「医療介護連携」なのだから。

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